一般にあまり知られていない”電圧”と”電流”の違い
「10万ボルトの高圧電流」「100アンペアの高電圧」
上記のような表現、よく目にしますが、少し電気をかじった人からするとどちらもおかしな表現です。
この記事では、これらの表記に違和感を感じない人のために、一般にはあまりきちんと理解されていない”電圧”と”電流”の意味についてまとめていきます。
できる限り専門的な用語や知識を使わずにわかりやすく解説していきます。
電圧=電気の圧力 電流=電気の流れ
まずは言葉の意味から考えてみましょう。電圧と電流、どちらも「電」の字が使われていますから、何となく「電気」に関することなんだな、と想像できます。
電圧は、電気の圧、つまり”電気の圧力”です。電流は、”電気の流れ”です。
ではこれらの意味を、一つづつ考えてみましょう。
圧力ってなんだ?
電圧=電気の圧力、はいいのですが、そもそも「圧力」ってなんでしょうか。
圧力とは
押しつける力。
- 物理一つの面を境にして、両側の部分が互いにその面に垂直に押し合う力。「―釜(がま)」
- 人を圧迫する力。「財界が政府に―をかける」
googleで圧力を検索すると、上のような結果です。「一つの面を境にして、両側の部ん・・・」はい意味不明ですね。
専門的に勉強したい人はこの意味をきちんと理解しなければなりませんが、一般人にはわかりにくい。わかりにくいので、無視します。
2つ目の項目にある「人を圧迫する力」、これは非常にわかりやすいですね。
「人を思い通りに行動させるために圧力をかける」
つまり心理的な意味での圧力。この圧力が強い人のことを”高圧的”な人と言います。
電圧についても、こっちの文脈で理解してしましましょう。要するに、
電圧=電気を思い通りに行動させようとする力=電気を流そうとする力
と理解してください。そうすると、「電圧が高い」ということはつまり「電気を流そうとする圧力が強い」という意味で理解できます。
イメージとしては「すぐに怒って生徒に言うことを聞かせようとする教師」みたいなもんです。
流れってなんだ?
次に電流について考えてみましょう。
電流=電気の流れ、です。先程の文脈で電圧を理解すると、こちらもイメージしやすくなると思います。
電流=圧力をかけられた結果、実際に流れる電気の大きさ です。
イメージとしては「先生に怒られた生徒が、どのくらい言うことを聞くか」という感じです。
電圧と電流の関係性は?オームの法則ってなんだっけ?
以上のような理解をした場合、”電圧”と”電流”の間にはどのような関係があるでしょうか。
電気を流そうとする力 と 実際に流れる電気の大きさ の関係性、ということです。
非常にシンプルに発想すれば、「流そうとする力が大きいほうが、大きい電気が流れる」という予測ができます。つまり、「電圧と電流は、比例関係にあるのではないか」という予測です。
よく怒る先生の方が怖いので、生徒は言うことを聞きやすいですね。仮に納得できないことだとしても、怖い先生に怒られるのは嫌なので、いうことを聞かざるを得ないのですね。
この関係性を表す法則が皆さんご存知の「オームの法則」です。
オームの法則は、抵抗という概念を創出して、電圧と電流のあいだの関係性を方程式として表したものです。
つまり 電流I=電圧V÷抵抗R ですね。
我々はすでに”電圧”と”電流”についての概念を掴んでいますから、抵抗についても理解できます。先程までの教師と生徒の例えとして考えてみましょう。
先生に圧力をかけられると、生徒は言うことを聞くわけですが、「どのくらい言うことを聞くか」には個人差があるはずです。これが即ち”抵抗”です。
文字通り抵抗するもの、としての概念ですが、「何に対して抵抗するのか」が重要です。この文脈では明らかに、”圧力に対する抵抗”です。先生の言うことをよく聞く生徒と反抗する生徒、その違いが抵抗なのです。
電流I=電圧V÷抵抗Rという式は、「電気を流そうとする圧力とそれに対する抵抗値が争った結果、ある一定の電流が流れる」という意味になります。
さあ、電圧と電流の違いについてここまでまとめてみました。いかがでしょうか?
ここまで読み進めてきた皆さんにとって、電圧と電流は最早あいまいなものではなくなります。記事冒頭の表現は「気持ち悪い」ものへと変わっているはずです。
最後に、同様の手法で「気圧」「水圧」について考えてみるのも面白いですよ。